少年の代表面である童子は、神秘的、妖精的で、前髪がやわらかく額にかかり、三日月型のまゆは明るく、清純な美少年の典型とも言える。また同類に慈童という面もある。能「天鼓」「田村」などの物語に用いられ、「石橋」の前シテにも使用される。


シテとは
能では、主人公を「シテ」と呼びます。演じる役柄は、神、亡霊の武者、亡霊の女、狂女、現実の男性、女性などに加え、天狗や龍神など超自然的な存在の場合もあります。物語の前場のシテは「前シテ」、後場のシテは「後(のち)シテ」といいます。夢幻能の前シテと後シテは全く違う役柄であるにもかかわらず、多くの場合、同じ能楽師が演じます。

能は「シテ中心主義」とも言われ、シテは一曲の主役であると同時に演出家でもあり、奏演者のキャスティング、どう演出するかなど演目全体の決定権をもっています。

シテの相手役を「ワキ」といいます。「ワキ」はほとんど全ての能に登場する、非常に重要な役柄です。旅する僧侶、主役の仇など様々な役を演じますが、シテと違うのは、「生きている人物」という点です。シテに遭遇するワキは生身の人間であり、多くの能で、死者が生きている人間に魂の救済を求めるという図式になるのです。